- 絵具の色は「顔料」と呼ばれる色の粉でできている!
- 水彩絵具には界面活性剤や防腐剤も入っている!?
- 絵具の成分を知ることで、絵具を自作できる!?
「水彩絵具って何からできてるの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
この記事では、
水彩絵具の5つの主成分、
- 顔料
- 展色剤
- 保湿剤
- 界面活性剤
- 防腐剤
をわかりやすく解説します。
絵具の成分を理解すれば、
「絵具ってなんで食べちゃダメなの?」
「絵具って自分で作れるって本当!?」
という疑問が分かりますよ!
成分の詳細は
こちらから!

Contents
水彩絵具の色の正体は?「顔料」のしくみを解説!


水彩絵具ってなんで色が付くの?
水彩絵具でなぜ色が付くのか?
その理由の一つが「顔料」です。

顔料とは色が付いた粉の事を言います。
詳細はこちら!
皆さんはフェルメールという画家が
「ウルトラマリン」という青色を好んだことを
知っているでしょうか?

鮮やかな青色はラピスラズリという
青い宝石を砕いて作った物。
青い宝石を砕いたら、
青い色の粉が出来たんです。

ラピスラズリを砕いたら青い粉が出来た。
だからそれを絵具の材料にしたんだね。
このように、顔料とは色が付いた粉のことを
言います。
顔料の中でも石や砂からできた物を「天然無機顔料」と言います。

ほかにも科学的に作った「有機顔料」や「合成無機顔料」があります。
合成無機顔料は金属を化学反応させた
顔料です。
一方、有機顔料は石油や石炭から作った
顔料になります。
似たような色でもそれぞれ性質が異なり
- 無機顔料=落ち着いた色
- 有機顔料=透明度が高く鮮やか
という傾向があります。
なので画家さんによって
好む絵具が違うんですって!
同じ青でも
- 天然無機:ラピスラズリ
- 合成無機:コバルトブルー
- 有機:フタロシアニンブルー
など、好みに合わせて
有機系、無機系の絵具を使い分けると
お絵描きがもっと面白くなるかも!?

さらに機能性顔料、体質顔料という種類もあります。

機能性顔料はキラキラや耐錆など化学効果を付与するんだよ。
体質顔料は無色でかさましに使われるんだ。
顔料とは色が付いた粉のこと!
雲母などのキラキラも顔料の一種!
展色剤とは?絵具を紙にくっつける「糊成分」の正体!


展色剤って何?何のために使うの?
展色剤とは絵具の中の糊成分!
色の粉である顔料を紙に乗せてみたとします。
このままでは鼻息だけで
飛んでいきそうですよね。
紙を傾けたらすぐに落ちてしまいます。
そこで
「顔料を紙にくっつけるための糊成分」
が必要になるという訳ですね!

顔料を紙に付ける糊成分を展色剤と言います。
実は絵具の種類を決めるのも展色剤です。
水彩絵具の糊成分には
「アラビアガム」(又はデキストリン)
が使われていますが、
油絵具には入っていません。
油絵具は糊成分に「乾性油」を
使うのです。
- 水彩絵具:アラビアガム
(児童用はデキストリンという加工デンプン) - 油絵具:乾性油
- 日本画:膠
- アクリル絵具:アクリルエマルション
- テンペラ画:卵

展色剤が変われば絵具の種類も変わるんだね!
ちなみに水彩絵具の展色剤「アラビアガム」は
こんな形をしています。

アラビアガムはアカシアセネガル
という木の樹脂です。
なので琥珀や松脂のように
黄色で透明な固体なのです。
これを50度程度のお湯で溶かして
顔料と混ぜ合わせて作ったのが
水彩絵具です。

絵具を作るのって手間が掛かるんだね!
この固形アラビアガムは画材屋さんで
販売されています。
「興味があるよ!」
というあなたは是非、溶かして
絵具を作ってみて下さい!
- 展色剤とは顔料を貼りつけるための糊成分!
- 展色剤が変われば絵具の種類も変わる!
- 水彩絵具の展色剤はアラビアガムという樹脂!

でも乾いてこんなにカチカチになっちゃったら使いにくくない?
そこで展色剤と顔料にさらに加えるのが
保湿剤です。
水彩絵具に保湿剤!?グリセリンや蜂蜜が使われる理由とは


絵具に保湿剤ってどういうこと?
上述の通りアラビアガムだけでは
カチカチになっちゃいます。
そこで固まりにくくしたり
滑らかで使いやすくするのが保湿剤です。
特に水彩絵具にはグリセリンや蜂蜜が
使われています。

えっ!保湿クリームの成分や蜂蜜まで入っているの!?
グリセリンは水分の蒸発を防ぐだけでなく
水分を浸透させる効果があります。
高い保湿力で化粧品に用いられるほか
甘味料としても使われる安全性が高い
成分なのです。
蜂蜜もグリセリンと同様に
絵具の保湿成分として用いられます。
蜂蜜は空気中の水分を吸収する性質が
ありますが、
それだけでなくカビや腐敗を防ぎます。
そのため、後述する防腐剤としての
役割も持っています。

蜂蜜やグリセリンを入れることで滑らかな絵具になります。
- 絵具がカチカチになるのを防ぐのが保湿剤!
- 水彩絵具の保湿剤にはグリセリンや蜂蜜が使われる!
水彩絵具に界面活性剤!?顔料をムラなく広げる成分のひみつ


絵具に洗剤?どうして?
ここでの界面活性剤は洗剤ではなく
「分散材」としての役割です。
分散材とは細かい顔料を散らすための物。
絵具に使われるような超微粒子の顔料は
何もしないと凝集してダマになって
しまいます。
それではキレイに絵具が広がらなかったり
ムラができてしまったりするのです。
それを防ぐために分散材として
界面活性等が使われています。
ハンドメイド水彩絵の具界隈では
オックスゴールを使うことが多いようです!

オックスゴールとは牛の胆汁のことです。
紙が絵具を弾くのを防いだり、水彩の滲みの技法に使われます。
水彩画家さんあるあると言えば、
紙が風邪をひく⇒にじみ止めを引く⇒絵具を弾きすぎる
の流れではないでしょうか?
絵具を弾きすぎるときに塗るといいのも
オックスゴールです。
絵具にもオックスゴールを混ぜることで、
- 顔料が分散する
- 紙で弾かれない
という特性を与えられます。
- 顔料の分散と弾き止めのために界面活性剤が使われる!
水彩絵具に防腐剤!?カビや腐敗を防ぐ成分の正体とは

絵具に防腐剤?絵具が腐るってこと?
「映画で画家が絵筆を舐めているのを
見ました。」
「絵具って口に入っても良いですよね?」
と質問を頂いたことがあります。
ですが絵具には防腐剤や防カビ剤が
入っているので食べない方が良いですよ。
絵具の材料にはアラビアガムが
使われています。
なので腐敗やカビの発生が
起きてしまうのです。
一方で蜂蜜は防腐剤になると
言われています。
絵具作家さんの中には
保湿剤、防腐剤の両方のために
蜂蜜を使う人もいらっしゃいます。
- 絵具はカビが生えたり腐る場合がある!
そのため防カビ防腐剤が入っている!
まとめー水彩絵具の成分を総まとめ!材料と役割をやさしく解説

最後までお読み頂きありがとうございます!
以上、絵具の材料について解説してきました!
皆さんが何となく使ってきた水彩絵具ですが
様々な材料によって作られていることが
分かりましたね!
- 顔料(色の素になる粉)
- 展色剤(アラビアガム、デキストリン等の糊成分)
- 保湿剤(グリセリン、デキストリン)
- 界面活性剤(オックスゴール等)
- 防腐、防カビ剤
これから画材屋さんに行くときは、
- この絵具はどの展色剤が使われているのかな?
- 無機顔料かな?有機顔料かな?
と考えながら選んでみて下さい!
あなたが好きな絵具の傾向が
分かるかもしれませんよ!
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お手軽アラビアガム!
顔料に混ぜるだけ!
手軽に作るならこれ一つでOKの
アラビアガムメディウムです。
液状なのですぐに使えますよ!
身体だけじゃなく
絵具にも!
300円ほどで入手できます!
手作り化粧水などを作っている方は
絵具作りにも活用できますよ!
絵具が弾かれるときは
紙に塗ろう!
水彩用のオックスゴールも
ホルベインから販売中!
容器がプラスチックで管理し易いのも
良いですよね!
保湿にも防腐剤にも使えます
↑これはコムハニーなので高級ですが
通常の蜂蜜で大丈夫です!
千年経っても腐らないと
言われています。


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