こんにちは、日本画家の深町聡美です。
諸願成就、受験合格、恋愛成就……
色々お守りはありますが、
絵が上手くなるお守り
って余り聞きませんよね。
でも美大受験のような大きなイベントでは、
受験合格に加えて、絵が上手くなる手助けを
神様から頂きたいものです。
むしろ長い目で見れば、そちらが本願ですよね!
そこで今回は美大受験生必見の
美術、芸術などで
ご利益がありそうな神様を調べました!
絵が上手くなる神社の関連記事です!

Contents
芸術・美術にご利益がある神様とは?【神社】

日本の神社仏閣で信仰されているものに限ると
代表的な神様は
- アメノウズメ
(『古事記』では天宇受賣命、
『日本書紀』では天鈿女命宗像三女神) - 弁財天
- 宗像三女神のイチキシマヒメ
(市杵嶋姫命)
の三柱が挙げられます。
アメノウズメ|芸術・美術にご利益がある神様①

アメノウズメは
日本の太陽神であるアマテラスが、
天の岩戸に隠れてしまう
岩戸隠れのエピソードで活躍する女神さまです。
この女神が天の岩戸の前で
ダンスをして神々を大笑いさせることで、
引き篭もっていたアマテラスは外界に
興味を持ちます。
そこで少し岩戸を開けて覗いたところを、
すかさず他の神々が引っ張り出して、
隠れた太陽神を外に連れ出す事に
成功したのでした。
この物語から、
アマノウズメは芸術の神様として祀られています。
アマノウズメの別名「オオミヤノメ」
オオミヤノメはアマノウズメの別名とされ、
こちらの名前で祀られていることがあります。
主に稲荷神社で、ウカノミタマと共に
祀られているようです。
天照大神の侍女として仕えたことから
接客業・和合の神とされています。
総氏神、天照大御神様と、その天照大御神様が天岩戸に隠れた時に連れ出した芸能の神、アメノウズメ命様のお守り。
— カンパネルラ🌟SUNABACO (@campa_rabb) January 3, 2019
アメノウズメ命様は素直な心であろうとする「たましずめ」の神とも呼ばれ、誇りを持って自ら生きようとする人を支える神様でもあると言われている。
無敵の布陣なのだー!! pic.twitter.com/hqZPD4vxBo
弁財天・イチキシマヒメ|芸術・美術にご利益がある神様②

二柱の女神が同じ見出しに並んでいます。
実はこれには理由があるんです!
イチキシマヒメは
宗像三女神
と呼ばれる三姉妹の神様の一柱です。
日本神話の上では先程登場したアマテラスと、
その弟であるスサノヲが、
誓いの占いをした際に生まれました。
その時にアマテラスから
「九州の玄界灘を守れ」と命を受け
世界遺産にも登録された、
「宗像大社」ができたとされます。
しかし歴史的には、
九州北部の土着の女神と言われており
海上の安全を祈願されてきました。
つまり元は芸術でも芸能でもない、
海上安全の神様だったのです。
そこにやって来たのが仏教と弁財天でした。
弁財天は元々、インドで信仰された
サラスヴァティーという水の女神でした。
そのサラスヴァティーも時代を経て、
芸術や学問、また、美の神様として
信仰されるようになります。
そしてそのサラスヴァティーが仏教に取り込まれ
弁財天となり、サラスヴァティーと同じく
芸術・学問・美・神を司る神(天部)
になりました。
さらにその弁財天が日本の信仰と出会い、
イチキシマヒメの真の姿=弁財天(本時垂迹説)
とされるようになったのです。
ですので、一部の宗像系の神社では
弁財天が祀られていることがあります。
こうして弁財天とイチキシマヒメは
芸術・芸能を司る女神と
信仰されているのです!
弁財天・イチキシマヒメの芸術・美術にご利益があるお守り

宮島の大願寺でお受けできる指輪守りです。
ご利益は「災難悪病を防ぐ」こと。
説明書では梵字に霊力があるとされています。
個人的には弁財天のご加護ということで、
芸能や創作活動のご利益もあったらいいな~と思っています。

ちゃんと弁財天様の芸能上達守りもあるよ!
お守り紹介
— 巫女へび (@http_hebimiko) March 8, 2023
「芸能上達守り」
弁財天さまは文芸、音楽、芸術を司る神ともいわれます。当神社の白蛇辨財天社のご辨財天神像は60日に1度巡る己巳の日にご開帳されます、次回の己巳は3/12です。
是非お参りください pic.twitter.com/KKrz5x968k
小野篁公(おの たかむら)|芸術・美術にご利益がある神様③

小野篁公は、平安時代の実在人物です。
文化人として多彩な才能を発揮し、
数多くの仕事をこなした事で有名です。
詳しい説明は小野篁を祀る代表的な神社
小野照崎神社のHPから引用します。
当社の御祭神である小野篁公は、平安時代の初期〜中期を生きた、実在の人物です。
国の中枢でその才を発揮した「学問の神」であり、漢詩、和歌、書道、絵画等、多彩なる感性で平安文化の大廈となり礎となった「芸能の神」、そして圧倒的な行動力と多彩な仕事を完遂するその手腕から「仕事の神」として、多くの逸話と共に広く信仰されております。
引用:小野照崎神社

絵画の才能に秀でた人だったんだね!
小野篁公の芸術・美術にご利益があるお守り

小野篁公ゆかりの「芸能上達守」は、美術の表現力を高めるお守りです!
小野照崎神社で授与して頂けます。
小野篁公の多彩な才能を象徴するように、
書画や芸能などの様々なジャンルに対応したお守りです。
- 表現力アップ
- 創作力アップ
など、芸術力の底上げが期待できそうですね!
菅原道真公(すがわらの みちざね)|芸術・美術にご利益がある神様④

菅原道真公は、小野篁公と同じく平安時代の文化人です!
現代では広い意味での文化の神とされています。
そのため、人類の歴史では新しい文化である
「アート」の守護としての側面を持つ事になったようです。
当宮のご祭神 菅原道真公(天神さま)は、「学問の神様」のほか「文化の神様」としても古くから崇められています。
このような信仰が広まった背景には、時代ごとに人々の間で重んじられた思想や文化などが影響していました。
さらに、和歌や連歌、歌舞伎、書画のご奉納を通じて、太宰府天満宮は文芸・芸能・芸術、いわゆるアートと関係が深くなっていきました。
また、天神さまをご崇敬するにあたり、そのお姿を描いた御画像、縁起絵巻、ご祈願のための絵馬など、その時代を生きる作家たちが渾身の作品を天神さまにご奉納してきました。
その中でも、奉納絵馬は九州屈指の質量を誇り、それを掲げた絵馬堂はギャラリーとしての役割を果たしています。
引用:太宰府天満宮
実際、道真公をお祀りする太宰府天満宮周辺には、アート施設がたくさん!
まさに文化と芸術の神様と言えるでしょう!

現代アートにもご利益がありそう!
菅原道真公の芸術・美術にご利益があるお守り
《旅MIYAGE@京都》北野天満宮の「技芸上達守」。学問・芸能の神様である天神様にちなみ、スポーツや芸術、習い事などの技能向上にご利益が。表には、梅と松、的を狙い弓を引く人の刺繍が施されています。上達には日々の精進が大切の意味? pic.twitter.com/boLyfQSHUa
— 旅とくらし文化研究所 (@tabi_kurashi) May 10, 2016
道真公の芸術のお守りは、
北野天神で授与して貰えます!
こちらは技芸上達守り!
芸術だけでなく、弓道や武道など
身体を使ったさまざまな技術が向上しそうですね。
太宰府天満宮や亀戸天神社では
芸術関係のお守りを見つけられませんでした。

太宰府天満宮なら「出世守り」や「叶守り」でカバーできそうですね!
西洋に美術の神様はいる?西洋の画家は地位が低かった!


そういえば、西洋には絵画の神様っているの?
少し話が変わりますが、
西洋では絵画制作、彫刻制作という仕事は
身体を使う肉体労働と考えられていました。
音楽や詩歌といった頭脳労働ではなく、
卑しい仕事と見做されていたのです。
そのためギリシャの神々においても
Musicの語源となったミューズはいますが、
絵画や彫刻の神はいないのです。
ですがキリスト教では中世後期からルネサンスにおいて、画家の地位が向上します!
次第に
「絵画を描く才能は、神からの賜物」=神に近い行為
とみなされるようになりました。
そして、聖人信仰のなかで、「福音記者ルカ」が画家の守護聖人となります。

伝説上、聖ルカは初めて聖母マリアを描いたとされています。
また、西洋の天使信仰では「大天使ヨフィエル」が芸術家のパトロン、美と創造の天使とされています。
芸術家にインスピレーションを与えるとも言い、その名前は「神の美」を意味します。
日本に美術(絵画)専門の神様がいない理由は!?
日本に美術(絵画)の神様がいない理由はシャーマニズムのせい!?


でも、なぜ日本には美術専門の神様がいないの?
日本の芸術の神様は、以下のように分けられますね。
- アマノウズメ・弁財天
=音楽、踊りの神 - 小野篁公・菅原道真公
=書道、文化、技芸
音楽や踊り、書道の神様はいても、
美術・絵画専門の神様がいません。
これはなぜでしょうか?
筆者の想像ですが、
- 日本では芸能(音楽・舞踊・演劇など)の元祖になったのがシャーマニズム
- 現代での美術の定義
- 日本では、書画が同じ括りだったから
この3つが理由ではないかと考えています。
シャーマニズム
〘名〙 (shamanism) シベリア北部の原住諸民族が創始し、極東地方に伝わったとされる原始宗教の一つ。シャーマンと呼ばれる巫女、あるいは巫者が、厳格な修行によって神や精霊と直接交わる能力を得、一種の没我の境地のなかに悪霊や病魔を追い払い、吉凶の判断、予言などを行なうもの。日本の原始宗教もその流れを汲むともいわれる。
引用:コトバンク
要するにシャーマニズムとは
「目に見えない神様を降ろして、神様の言葉を貰う」
といった事です。
その儀式の中で行われたのが、
音楽や踊り、祝詞でした。
音楽や踊りで気分を高揚させることで
巫女は自分に神を降ろし、神託を受けたのです。
ですので、現代でも神様に
歌や踊りをささげる(奏上する)
お祭りへと続いて行きました。

つまりこういうことです!
- 音楽や踊りは古代から日本人の生活と、信仰に根差していた!
⇒だから、それに関する神様もいる - 美術・絵画等は祭祀の記録用
⇒神様はいない
美術の神様がいないのは、美術が「実用的ではない」から!?

また、現代での美術の定義も、
美術の神様がいない理由だと考えられます。
現代での美術の定義とは以下の通りです。
「実生活に於いて直接的な機能を持つとは考えられない」物
明日のご飯も無いような生活なら、
装飾よりも強く便利な物を作りますよね!
つまり、ある程度の余裕がなければ
絵画に親しむ場合ではないのです。
となると、
✅食事がある
✅ほどほど平和である
という状態にならないと、
「絵画の神様」は生まれないのでしょう。
日本に美術の神様がいないのは、書と画が同じ括りだったから!?


菅原道真公も小野篁公も、「絵の神様」じゃないよね?
「絵や美術の神様」はいないの?
日本では古くから「書」と「絵画」は同じ括りで捉えられていました。
つまり、どちらも“書画”という総称で扱われてきたのです!
- 書道=「書画」
- 絵画=「書画」
このため、書道や絵画を分けて信仰対象とする習慣がありませんでした。
なので、美術だけを司る神様というのは、
あまり現れなかったのです。
また、絵画や書の上達を願う際には、
- 学問や芸術全般にご利益のある神様
- 歴史上の人物
を祀るケースが多く見られます。
その結果、日本では“美術の神様”というジャンルはあまり広まらず、信仰の対象も限定的だったのかもしれません。

書画と言う一つのジャンルだったんだね!
芸術・美術の神様まとめ

以上、日本において「芸術・美術の神様」
と呼ばれる神々を紹介してきました。
ご縁の在りそうな神様は見つかりましたか?
実は「美術やアート」は、
日本では最近生まれたジャンルなんです!
だから「美術・絵画専門の神様」はいませんでした。
ですが、アメノウズメやイチキシマヒメ、弁財天、
菅原道真公や小野篁公など、
書画や芸術の神様があなたの絵をサポートしてくれるはず!
ぜひ、近くの神社を探して
これらの神様を訪ねてみて下さいね!
- アメノウズメ、弁財天(イチキシマヒメ)が日本の美術の神様とされている
- 平安以降の実在した文化人も、美術の神様として祀られている
- 西洋では福音記者ルカが画家の守護聖人
- 近くの神社で芸術の神様を探してみよう!
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