- 違い①粒の大きさが違う!
- 違い②原材料が違う!
- 違い③金粉は純金製でも金粉は真鍮製かも!?
こんにちは、日本画家の深町聡美です!
金粉と金泥、どちらもアートや料理の演出など、様々な場面で見られますね。
しかし、実際に金粉と金泥の違いを説明できる人は少ないのではないでしょうか?
一般的には、
「金色の粉」
程度の認識しかない方が多いと思います。
今回の記事では
- 日本画の金粉と金泥は何が違うのか!?
を解説します。
それぞれの違いを理解すれば、
より深く価値や用途を理解できますよ!
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Contents
金泥とは日本画で使われた金色の絵具!
金泥って聞いたこともないんだけど…?
「金泥」
聞き慣れない名前ですが、
日本画で使われる金色の絵具の一種です。
読み方は「きんでい」または「こんでい」です。
ですが、名前から想像するようなただの泥ではありません!
実は非常に細かい金色の粉なんです!
ソフトクリームに乗っている金箔を
見たことがある人も多いでしょう。
そんな金箔を更に細かく粉状にしたものが金泥なんです。
この金泥を膠という動物性の糊と混ぜて、
泥状の絵具にし、日本画に使用します。
金泥は「消し粉」とも呼びます。
『図解日本画用語事典 』[ 東京芸術大学 ]によると、金泥を消し粉と呼ぶのは、泥状の絵具として使うと、箔のときの艶が消えるため、または顔料(絵具)の上から金泥を塗ると、顔料の発色が消えるためだとされています。
この金泥、日本では古くから使用されてきました。
特に有名な作品としては、
俵屋宗達が描いた『鶴下絵三十六歌仙和歌巻』が挙げられます。
その中の鶴の身体は銀泥で、
脚や嘴は金泥で描かれています。
また、仏画でも金泥の輝きは活用されました。
仏様の身体の金色を表現するために金泥が使われたのです。
金泥は金色を表現するだけでなく、神々しさを表現するためにも使われたんだね!
鎌倉時代には「悉皆金色」と呼ばれる表現技法が発達。
金泥や金箔、截金をフル活用して仏様の神々しさを表現しています。
とはいえ、金泥はあまり一般的な絵具ではありません。
高級な素材である純金から作られています。
そのため、一般的な文房具店では手に入りません。
しかし、その高級感と輝き。
近代では横山大観の富士山の絵などにも使われていたんですよ!
また、泥は金色だけではなく、
- 純銀
- プラチナ
- アルミ
- 真鍮
などの泥もあります。
また、金箔は通常、銀や銅が混ぜられています。
これは金100%では柔らかすぎて扱いにくいため。
ところが99%の純金の金箔をもとにした金泥もあるんですよ!
泥の色はたくさんあるんだね!
これらの色の多様性、そして輝きは、
日本画の表現に大いに役立っているのです!
金粉と金泥の違いとは?①ー違いは原料に有り!
金粉という言葉もあるよね?
金粉と金泥は何が違うの?
本題です!
まず原材料が違います!
金泥と金粉、それぞれの原料に大きな違いがあります。
- 泥は金箔が原料
- 粉は金属の塊(地金)が原料
泥は、主に箔を原料としています。
箔を更に細かく粉砕して作られているのです。
金泥は金箔から出来ていますが、
銀泥やプラチナ泥も同様に、
銀箔やプラチナ箔を原料とします。
一方、粉の原料はインゴット。
つまり金属の塊や地金から作られます。
じゃあ金粉の原料は金塊!?
そうとは限らないので、次の次の章を読んでください!
金粉と金泥の違いとは?②ー粒の大きさも違う!
原料以外にも重要な違いが一つあります。
それは粒子の大きさです。
前章で触れたように、金泥の原料は金箔。
箔を更に微細に粉砕したものです。
箔から作られる過程で得られる粒子は
非常に細かいものとなります。
ここで堀金箔粉株式会社の製造過程を見てみましょう!
このような丁寧な作業で、金箔から金泥を作っているのです。
そのため、金泥は緻密な作品に使われることが多く、
細かな部分の彩りを求める場合にはこれが最適です。
一方、金粉の原料は金属の塊、地金から作られます。
これから作られる金粉の粒子は、
金泥に比べて大きめなのです!
- 金泥は粒子が小さい!
- 金粉は泥と比べて粒子が大きい!
次の章では、金粉が必ずしも金だけでなく、
「他の素材も使われている!?」
ということを解説します!
金粉の種類一覧ーアルミや銅も使われている!
ん?洋金粉?雲母金粉?これはなに?
日本画の金粉は純金製とは限りません!
「金粉」と聞くと
純金から作られた粉を想像するかもしれません。
しかし様々な金属を原料とする「金粉」が存在するんです!
大きな例としては、
真鍮から作られる金粉があります。
真鍮は金色に近く、
日本画において一般的に金粉とされるものは、
真鍮を原料に色調を調整したものが多いのです。
例えば、日本画の老舗店「喜屋」のカタログでは、
「洋金粉」として真鍮製の金粉が取り扱われています。
※これは商品名であり、純金製ではないことは明記されています。
また、他にも金粉と同様に、
アルミニウムを原料とした「アルミ紛」
(白金粉とも呼ばれます)
銅を原料にした「銅粉」
などの種類があります。
他には雲母から作られた金粉などもありますよ!
しかし、このことからもわかるように、
- 金泥は純金やプラチナ、銀など高価な金属が使われる
一方で
- 金粉はより安価な金属が使われる
傾向があります。
真鍮製でもアルミ製でも、銀や金と見分けがつかないね!
さあ、これで金粉と金泥の三つの違いが分かりましたね!
- 原料
泥は箔、粉は金属の塊 - 粒子の大きさ
泥が細かく、粉が大きめ - 金属の価格
金泥は高価な金属、金粉は比較的安価な金属
ですがあくまでこれは日本画での話!
現在、一般的には金粉と金泥は
ほとんど使い分けられていません!
次の章では、この事実について解説いたします!
注意点ー今は金粉も金泥も同じ意味で使われる
違いは分かったけど、普段使い分ける事ってないよね。
通常、金粉と金泥が使い分けられることはほぼありませんね!
前章までで、金粉と金泥の違いについて
詳しく説明してきました。
しかし、実は現代では、
これらの違いをあまり意識せずに、
どちらも同じように使われています!
例えば、楽天市場で「金粉」と検索を行うと、
金泥が出てくることもあります。
これは
一般的に金粉というと、
- 金の粉、または金色の粉と解釈されるから。
日本画における「金泥」に対する認識は、
日常生活の中で意識した事はありませんよね。
金粉も金泥も金色の粉ですよね!
また、消費者が商品を検索する際には、
「金粉」や「金泥」でわざわざ使い分けません。
だいたい「金粉」で検索するでしょう。
そのため検索ワードとして、
金泥、金粉の両方を商品名に入れるのが一般的
になっています。
「金泥」としか書いていないと、「金粉」で検索された時に表示されなくなってしまうんだね!
ここで、心配されるかもしれないのが
「食用の金粉って真鍮!?」
「健康に影響があるのでは?」
という疑問。
しかし、
食用の金粉は無害な純金製とされていますので、
そうした心配は大体において無用と言えます!
気になる方は商品の素材を確認してみてね!
ただし、日本画や工芸など一部の分野では、
金粉と金泥の違いが作品の表現に大きな影響を与えます。
なので、その性質の違いを理解しておくのは重要なこと!
それぞれの特性を活かした
作品作りが求められる場面もあります!
- 現在では金粉も金泥もほとんど同じ意味!
- でも日本画や工芸では使い分けられている!
- だから意味を知っておくのは大事!
まとめー金粉と金泥、何が違うの?価値の違いを徹底解説!
最後までお読み頂きありがとうございます!
本記事では、金粉と金泥の違いについて
ということを解説してきました。
しかし、現代ではこれらの違いはあまりなく、
どちらも同じように使われています。
日本画においてはそれぞれの違いを理解して、
作品制作に利用するのがおススメです!
金粉と金泥は、どちらも日々の生活に
華を添える存在ですよね。
この記事が、その魅力を再確認する
きっかけになれば幸いです!
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