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日本画の絵具と水彩絵具の違いは?同じ使い方で良いこと、悪いこと

こんにちは、日本画家の深町聡美です。

今回は日本画絵具と水彩絵具の違いを解説します!


日本画絵具も水彩絵具も水で溶かして使う絵具ですが、同じ使い方でいいのでしょうか?



また、日本画絵具ってどうやって使うのでしょうか?


そんな疑問に、

  • 粉の日本画絵具の使い方
  • チューブの日本画絵具の使い方
  • 顔彩の使い方
  • 水彩絵具は日本画絵具と混色できるか?
  • 水彩筆やパレットは日本画に使えるか?

という点からお答えしていきます!

結論:日本画絵具と水彩絵絵具の使い方は違います!

日本画絵具は水彩絵具と同じ使い方でいいの?

一部の絵具は同じですが、粉の絵具は違います!


日本画絵具の中には粉状のものと、チューブに入ったもの、固形のものがあります。


この中で最も使われているのが、粉状の絵具。


でも、粉状の日本画絵具は水彩と使い方が全く違います!


なぜなら
粉状の日本画絵具は、ただの色の素の粉!

水彩絵具には入っている、「糊成分」が入っていないからです!

一方、学校で使う水彩絵具の中には、

  • 色粉を紙に接着するための「糊成分」
  • 保湿剤
  • 防カビ剤

などが入っていて、最初から使いやすくなっているんです!

だから粉の日本画絵具を、水彩のように水で溶いて塗っても……

乾いたら絵具が落ちて白紙になってしまいます。



でも、これは粉状の日本画絵具のはなし。


チューブに入った日本画絵具、
固まっている日本画絵具(顔彩)は、
水彩絵具のように使えます!

ではここからは、それぞれの日本画絵具の使い方を紹介していきます!

使い方が気になる方は要チェックですよ!


粉になっている日本画絵具の使い方ー水彩絵の具との違い①



粉になっている日本画絵具は糊成分を混ぜて使います。


初心者さんへのおすすめは「液体の膠」です!

最初から溶けている膠で、手間がいりません!


➡【日本画】膠(にかわ)とは?作り方と使い方&種類を徹底解説【画材】



必要なもの
  • 日本画絵具(岩絵具、水干絵具など)
  • 糊成分(膠、アクアグルー、アートグルーなど)
  • 絵皿(溶き皿ともいう)



①日本画絵具を絵皿に出す



まずは日本画絵具を絵皿に出しましょう。

コンビニアイスに付いてくるプラスチックスプーンを使うとこぼしません。


②日本画絵具に糊成分を加える


絵皿に出した日本画絵具に糊成分を加えて、中指で混ぜます。

水干絵具なら細かく砕いてから少量の糊成分を加えて中指で練り混ぜます。


日本画絵具の粒全体に糊成分が染み渡るまで行いましょう。

「糊をつけている」という意識でやってみてください。


③日本画絵具に水を加える


糊成分を混ぜた絵具に適量の水を加えましょう。

自分が使いやすい量で構いません。

水で溶かすのではなく、伸ばしやすくするイメージです。



④筆に付けて着色する

水干絵具なら色水を、岩絵具なら絵具の粒を筆に付けて着色します。

水彩絵具は水だけでいいけど、日本画絵具は糊成分と混ぜないといけないんだ!


このように、日本画絵具は絵皿に出し糊成分と混ぜることで初めて使えます。



水彩絵具のように、水と混ぜるだけで使えるわけではないので注意しましょう。


糊成分について
日本画で使う糊成分には、膠、アクアグルー、アートグルーなどがあります。

日本画で最もメジャーな糊成分である膠は、固形の物が多く、細かく砕いた上で湯煎にかけて溶かす必要があります。

しかし最近では、液体膠やアートグルーのような、すぐに使える糊成分もあります。

初めての方は液体膠が一番おすすめですよ!



チューブに入った日本画絵具は?ー水彩絵の具との違い②



最近の日本画絵具の中にはチューブに入った絵具もあります。


こちらは前述の水干絵具を膠などに混ぜ、チューブに詰めたものです。


最初から糊成分が入っているので、水彩絵具のようにチューブから出して、すぐに使用可能です!


必要なもの
  • 絵皿
  • チューブ日本画絵具


①チューブ日本画絵具を絵皿に出す


チューブの日本画絵具を絵皿に出します。

薄めて使う際は少量出しましょう。


②絵皿の日本画絵具に水を足す


絵皿の日本画絵具に水を足しながら、指や筆で溶かします。

好みの濃度になるまで水を加えましょう。

ダマや溶け残りがないように丁寧に溶かします。


これで水干絵具が溶けたのと同じ状態になりました。


③日本画絵具を筆に付けて着色する


水干絵具と同じように、筆に色水を含ませ着色します。

チューブ日本画絵具は水彩絵具と同じように使えるんだね!



チューブ日本画絵具は最初から糊成分が入っています!
だから水に溶かして使えます。

ただ、透明水彩絵具のように乾燥させず、そのまま使うようにして下さい。

顔彩(固まっている日本画絵具)は?ー水彩絵の具との違い③



日本画絵具の中には「顔彩」という、固形絵具もあります。



こちらは見た目通り、透明水彩絵具のように使用する絵具なんです。

和風の色名がおしゃれですね。


顔彩は粉状の水干絵具などを膠で固めた絵具。


長方形のプラスチック皿に入った状態で販売されていて、現在では蛍光色など多数の色が揃っています。

「鉄鉢」という絵皿に入ったタイプもありますよ


水彩とも一緒に使えるので初心者さんに一番おすすめの日本画絵具です。

必要なもの
  • 顔彩
  • 絵皿やパレット


①顔彩を水で濡らした筆で撫でる


固形の水彩絵具を使う時のように、筆で顔彩を撫でて色を含ませます。


②絵皿やパレットで濃度調整


絵皿やパレットに移し、水を含ませた筆で濃度調整。

好みの濃さになったら着色しましょう!

顔彩は不透明な色も多いよ!
透明水彩と併用するときは色の濃さに気をつけるといいんだ!



Q&A 日本画絵具は水彩絵具に混ぜて使えるの?

水彩絵具と日本画絵具を混色していいの?

水干、顔彩は比較的混色しやすいです。



日本画絵具の中でも水干絵具や顔彩は、水彩との相性はバッチリ!


ですが、岩絵具との混色は、作品を選びます。


岩絵具と水彩絵具を混色すると…
  • ザラザラした質感になる
  • 想定と違う色になる
  • 色ムラができやすくなる



まず、水彩絵具に岩絵具を混ぜるとザラザラとした質感になります。


また、色成分の粒の大きさが異なり、想像とは違う色になるリスクもあります。

例えば、青い水彩絵具に赤い岩絵具を加えても、紫色ができるとは限りません。
粒子の大きさが違うと灰色っぽくなったり、混色できなかったりします。



マットで鮮やかな発色が特徴のポスターカラーも、
日本画絵具を混色すると鮮やかではなくなったり、
むらができやすくなる可能性があります!


透明水彩と混色した場合は、
透明水彩の透明性がうしなわれたり、

岩絵具の粒子の粗さのせいで
細かい表現がしづらくなることも考えられます。

水干絵、顔彩と水彩絵具との混色はできるけど、岩絵具と混ぜるのは試し描きをするといいんだね



Q&A日本画絵具はアクリル絵具に混ぜて使えるの?

アクリル絵具と混ぜるのはどうかな?

糊成分を入れていない日本画絵具ならOKです!


アクリル絵具を先に塗った場合や、
アクリル絵具に粒状の日本画絵具を混ぜるのは問題ないとされています。



しかし、日本画絵具の上からアクリル絵具を塗り重ねるのは、一般的にはNG。


この2つは相性が悪いと言われています!



これはアクリル絵具と日本画絵具は糊成分が異なり、それぞれ収縮率が違うため。


この違いによって、完成した絵にひび割れが生じやすくなるのです!

先にアクリルを塗って、上から日本画絵具を混ぜるのはいいんだね。



Q&A 水彩の筆は日本画絵具に使えるの?

水彩用の筆も日本画に使える?

獣毛みたいな柔らかい筆はどんどん使って!



水彩の筆は日本画絵具でも使えます。

特に、獣毛の柔らかい筆ならベストです!



最近はナイロン製の筆でも、
獣毛を模した柔らかくて使いやすい筆が多いので
こちらも使用OK!


絵具の含みが良く、腰が強い筆なら日本画でも問題ありませんので、好みの筆を探してみてくださいね。



ただし、

  • 質が低いナイロン筆
  • 硬い筆

だと絵具の含みが悪く、使いにくいです。


特に、5本で100円などの黒くてガチガチな筆は、紙を痛めます。
おすすめはできません。

Q&A水彩用パレットは日本画絵具に使えるの?

水彩用パレットは日本画にも使えるの?

チューブ日本画絵具なら使えます


日本画の岩絵具、水干絵具は、粉状のものを糊で混ぜる必要があります。

つまり、普通の水彩パレットは粉の日本画絵具には不十分!


混ぜるスペースが足りず、粉が飛び散ってしまいます。

アクリルガッシュやポスターカラーを混色する大きいパレットならまだ使いやすいです。
どうしても安価に済ませたい場合はこちらを買うのが良いでしょう。

プラスチック製の絵皿も5枚300円前後と安価に購入できます。

↓はイメージ。ホルベインの公式通販が安価です。




ただ、プラスチックでは岩絵具の粒子で傷がつきやすく、長期使用には不向きです。



本格的に日本画をしたい方は、陶器製の絵皿を使ってください。

陶器の絵皿は傷や色がつきにくいです。

アクリルや水彩にも使いやすいね!



日本画絵具と水彩絵具は違いがたくさん!でも併用もできます!



最後までお読みいただきありがとうございます!
以上が日本画絵具と水彩絵具の使い方の違いでした。


美大の日本画科では、受験科目として水彩が採用されています。


いま水彩を楽しんでいる方は、日本画にも挑戦してみるのはいかがでしょうか?


お手持ちの水彩道具とチューブ絵具、顔彩があれば日本画も描けちゃいますよ!





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乞うご期待!