こんにちは、日本画家の深町聡美です。
今回は
「日本画の膠に防腐剤を入れるのはアリ？」
という疑問を検証しました！
日本画で防腐剤を使うと色が変わると言いますが、本当なんでしょうか！？
実際に、アクアグルーという日本画用の展色剤に防腐剤を入れて確かめました！
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日本画用アクアグルーを大量買いした人の末路
事の発端はこれでした。
私はアクアグルーにカビを生やす天才だと思うんですよ。。。
— 深町聡美@日本画ブロガー (@nihongago) April 9, 2024
これから大人しくアートグルーを使います😢
うーん一長一短！どっちも好き！
アクアグルーは水溶性の粉末状の糊的なもの。
（膠代わりに使える展色剤）
水に溶かしたアクアグルーは数日でカビが生えます。
筆者は兄弟商品であるアートグルーを使っていましたが、カビも腐敗もありません。
常温で液状のまま保存できるのです。
その一方で、アートグルーは膠として使用した後は耐水性になります。
つまり、洗い出しなど、日本画で使われる水を活かした技法が使えなくなるのです。
そこで筆者は洗い出しも出来、より膠に近い使い心地のアクアグルーを
「アクアグルーもきっと腐らないだろう」
と大量に購入したのです。
日本画用アクアグルーは溶かした後、カビが生える！
前述の通りアクアグルーは水に溶かして放置するとカビが生えます。
アクアグルーは最初は最初は粒状です。
これを決められた割合で水に溶かし使用します。
粒状のままならカビも生えず、長期保存が可能です。
この粒を作り方通りの比率で水に溶かして、
約1日放置し、完全に糊状にします。
これでアクアグルーが使えるようになりました！
右が溶け切った後。
しかし溶かしたまま数日経つと……
カビが……
確かに、アートグルーはかなりキツイ化学的な匂いがします。
今思えばこれは防腐剤だったのかもしれません。
一方アクアグルーは無臭でした。
無臭であることはメリットですが、腐ってしまっては使えません。
そこでXで教えて頂いたのが、
防腐剤を入れるというテクニック！
参考までになんですが、天然の膠には
— Ikumi haruno/春野育美 (@haruno_2023) April 9, 2024
ピグモン東京の防腐剤を数滴混ぜるといいですよ（容量は使用方法を参照してください）
三千本膠や粉末の牛膠
魚膠にも使えてかなり持ちます
冷蔵庫に入れるとさらに持ちます
ノーストレス！めっちゃ便利ですよhttps://t.co/sbIYBTD1ol
私はピグモン東京の粉末牛膠➕防風剤で翌日に使う分だけ小瓶に２０%膠をササっと作っといて快適ノーストレス日本画ライフしています^_^
— Ikumi haruno/春野育美 (@haruno_2023) April 9, 2024
深町先生もぜひぜひ pic.twitter.com/ISLTELSDEB
日本画に防腐剤を使うと発色が悪くなる？
ところで日本画をやっている人なら聞いたことがあるでしょう。
👦「○○膠は防腐剤が入っているから発色が悪い……」
👧「防腐剤が入ってると色が変わる……」
そうです、
「防腐剤＝色が悪くなる」
という話です。
筆者もこの話で
「防腐剤＝なんか良くないらしい」
と思っていました。
しかし
- 日本画家さんが教えてくれた
- PIGMENT TOKYOにある
なら、そんなに悪い物じゃないはずです。
というわけで、実際に防腐剤をアクアグルーに入れて試してみました。
日本画のアクアグルーに防腐剤を入れてみた
おすすめして頂いたのは、PIGMENT TOKYOの防腐・防カビ剤です。
少量で試したかった筆者は、Amazonで販売されていたホルベインの防腐剤を使用しました。
使い方は簡単です。
100mlに対し5滴入れるだけ。
使いやすいのは良い事です。
今回は400mlほどのアクアグルーに20滴、
粒膠液約500mlに25滴入れました。
10mlしかないと残量が不安でしたが、まだ7割も残っています。
結論：日本画に防腐剤を使っても色は変わらない
今回は防腐剤の有無で色の比較をしていません。
個人の主観的な感想です。
「本当に変わらないの？」
「色って見分けられるの？」
「あなたは良くても私は違うし…」
という方のために、筆者の「色見分け力」を記載します。
- 中間ドーサで色が変わるのは分かる
- 胡粉の質で色が違うことは分かる
- 膠が濃いと絵が黄色くなるのは分かる
というわけで、筆者は防腐剤の有無は気になりませんでした。
ですが繊細な絵を描かれる方や、色を重視する方は、違いが気になるかもしれません。
ただ、それ以外の方ならデメリットより、メリットの方が大きいです。
防腐剤を使った日本画はどうなる？
春野さん@haruno_2023 に教えて頂いた防腐剤作戦を敢行しました✨
— 深町聡美@日本画ブロガー (@nihongago) July 17, 2024
これで講座で余ったアクアグルーと膠を保管できます✨👏👏
感謝感謝✨✨ pic.twitter.com/SAWDmHSIZn
さて、ホルベインの防腐剤は100mlに対し、5滴でOKでした。
でも、そんなに少量で効果があるのか不安になりますよね。
数日でカビが生えたアクアグルー。
防腐剤入れて常温放置で一か月以上カビなし！
- 一か月以上常温でカビが生えない！
- しかもキツイ匂いなし！
このように常温の長期保存に堪えられます！
もちろん早めに使うのがベストですが、使用期限が一か月以上伸びるのはありがたいですよね！
防腐剤を使う前の筆者は、数日おきに
アクアグルー計量して溶かす
↓
余ったアクアグルー捨てる
をしていました。
正直
「夏は膠の方がマシなのでは？」
と思った事もあります。
ですが防カビ剤は大正解！
アクアグルーを初めて使いきれました。
防腐剤を日本画に使う時の注意点
たいへん便利な防腐剤ですが、注意点もあります！
全部で五つの注意点を紹介します！
ご自身で防腐剤を使われるときは、しっかり確認して使って下さいね！
- 適切な量を守る
- 均一に混ぜる
- 適切に保存する
- 早めに使いきる
- 皮膚や目に触れないようにする
日本画で防腐剤を使う時は【適切な量を守る】
防腐剤のパッケージやサイトには、必ず使用量が書いてあるはずです。
必ず、書かれている通りの適切な量を使って下さい。
「たくさん入れると長持ちするかな！？」
と大量に入れると、絵具の性質が変わるかもしれません。
それこそ「色が変わる」ということもあり得ます！
絵具が変質しないように、適切な量を使用しましょう！
日本画で防腐剤を使う時は【均一に混ぜる】
防腐剤を使う時は、均一に混ざるようにして下さい。
防腐剤を膠やアクアグルーに使う方は、「一度に大量に作りたい！」という方じゃないでしょうか？
もし、大きい器で大量に作ってしまうと…
防腐剤が全体に混ざらないかもしれません。
すると防腐剤が行き渡らないところだけ、部分的に腐敗することもあります。
個人的には500mlペットボトルのように、振り回して混ぜやすい容器がおススメです。
日本画で防腐剤を使う時は【適切に保存する】
防腐剤を入れても冷暗所に保管しましょう！
防腐剤を入れても、気付かない程度に劣化はしています。
清潔な冷暗所に保管することで、防腐剤の効果を最大限発揮できます！
筆者は一か月常温放置していましたが、
直射日光や高温多湿な場所は避けて保存するのがベストです。
日本画で防腐剤を使う時は【早めに使いきる】
防腐剤を入れても、早めに使い切りましょう！
当たり前ですが、防腐剤を入れても膠やアクアグルーは、未来永劫保存できるわけではありません！
出来るだけ早めに使い切り、古くなった膠は使用しないようにして下さい。
「冷蔵庫の中に〇年前の膠」
とかにならないようにしましょう。
日本画で防腐剤を使う時は【皮膚や目に触れないようにする】
防腐剤を使う時は、皮膚や目に触れないようにご注意下さい！
防腐剤は化学物質で、皮膚や目に入ると危険です！
ホルベインの防腐剤のパッケージにもこう書かれています。
毒性は少ないが刺激性あり。
皮ふに付けないこと。
もし皮膚に触れてしまうと、かゆみや腫れ、アレルギー反応が起こったりするそうです。
目に入ると結膜炎を引き起こしたり、視力に影響を及ぼすこともあるとか…
ホルベインの防腐剤は口が小さく扱いやすいですが、もし他のタイプを使う時は、撒き散ったり、こぼれないように、使用に注意して下さい。
まとめー日本画の膠に防腐剤を入れると長持ちする！変色の有無も確認しました！
最後までお読みいただきありがとうございます！
「日本画の膠に防腐剤を入れると色が変わる！」
「防腐剤は良くない！」
と言われてきましたが、
今回の実験で大きな変化がないことが分かりました！
（個人の感想です）
とは言え、防腐剤を大量に入れたり、長期間放置していると劣化します。
それが色の変質をもたらすこともあるでしょう。
もし、
「膠溶かすの面倒だな～」
「日本画をスムーズに描けたらいいな」
と思っている方は、試す価値はあります！
一度、ご自身でも試してくださいね！
私も次は膠で試したいと思います！
それでは、良い日本画ライフをお過ごしください！
今回使った防腐剤はこちら！
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乞うご期待！
結論：
日本画に防腐剤を使っても色は変化しませんでした。