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『あつまれ どうぶつの森』に登場する日本の絵画全5種を解説します!


こんにちは、日本画家の深町聡美です。

今回の記事は『あつまれ どうぶつの森』に登場する日本の絵画についてまとめました!



任天堂が開発・発売した人気のゲーム『あつまれ どうぶつの森』。
(以下「あつ森」)

超大人気で「国民的ゲーム」と言っても過言ではないですよね!


今回はそんな、あつ森に登場する「日本の絵画」について、その歴史や見どころをそれぞれ解説していきます!

Contents

『あつまれ どうぶつの森』に登場する日本の絵画ってなにがある?

引用元:Unsplash

みんなは博物館はコンプした?

久しぶりにやりたくなりました。


改めまして、みなさんは「あつ森」をプレイしているでしょうか?

「あつ森」はプレイヤーが無人島に移住し、自分だけの島を作り上げていくゲームです!


なんと、その過程で「美術品」を収集することができるんですね!

しかも自分の島の博物館に飾れるんだよね!


この美術品の中には、西洋絵画や彫刻はもちろん、日本の名画も含まれています。

あつ森に登場する日本絵画
  • 見返り美人図(しなやかなめいが)
  • 神奈川沖浪裏かながわおきなみうら(いきなめいが)
  • 大谷鬼次の奴江戸兵衛(いなせなめいが)
  • 紫陽花双鶏図(ちみつなめいが)
  • 風神雷神図(あらぶるめいが)


有名な絵は実際の美術館でも見られますし、
自分の知ってる絵がゲームに登場したらテンションが上がりますよね!


そして、もしかしたら「あつ森」がきっかけで、初めてその絵を知る方もいるかもです!



ここからは、「あつ森」に登場する日本絵画を一作品ずつお話します!


あつ森好きの人も、日本画好きの人も楽しめる記事を目指しましたので、是非最後までご覧ください!


『あつ森』の日本画① 見返り美人図(しなやかなめいが)


まず最初に紹介するのは、菱川師宣ひしかわ もろのぶの「見返り美人図」です。


この絵は江戸時代に描かれた直筆の浮世絵です。

浮世絵というと、版画のイメージがありますよね。

でも、こちらは直筆で絹に描かれた絵なんです!

このような直筆の浮世絵を「肉筆画」と言います。


あつ森では「しなやかなめいが」として登場し、
特徴的なポーズを取る女性が描かれています。


実物は、現在は東京国立博物館に所蔵されています。
博物館に行った際は、実際に見れるかもしれませんね!

余談ですが、なぜか「偽物」の裏側に人影のシミがあるため、ホラー系の演出にも使われています。

背景と歴史『あつ森』の日本画① 見返り美人図(しなやかなめいが)


「見返り美人図」の作者は、江戸時代前期の浮世絵師である菱川師宣とされています。

菱川師宣は浮世絵の基礎を築いた人物とされ、多くの美人画を手掛けました!

この絵は、着物を着た女性が肩越しに振り返る姿を描いていますよね。

これはしなやかな動きや女性の美しいボディラインを表す構図と言われています!

「うなじがセクシー」というのは日本人独特の感性だそうです。


菱川師宣の美人画は、当時の江戸の町人文化を反映しており、
庶民の生活や風俗を鮮やかに描き出しています。

見どころ『あつ森』の日本画① 見返り美人図(しなやかなめいが)

↑あつ森に登場する偽物の様子

この絵の見どころは、やはり振り返る女性の優雅な姿勢と細やかな着物の描写に尽きるでしょう

特に、着物の模様や質感の表現は非常に緻密です。
ここからも菱川師宣の技術の高さが分かりますよね。


この作品サイズはなんと、63×61.2cm!

この小ささの中に、緻密な柄が描かれているんです!

また、振り返ることで生じる視線の方向性が、
鑑賞者の目を絵全体に誘導する効果を持っているとされています。

上の余白もカッコいいよね!

『あつ森』の日本画② 神奈川沖浪裏(いきなめいが)


次に紹介するのは、葛飾北斎かつしか ほくさいの「神奈川沖浪裏」です。

あつ森では「いきなめいが」として登場しています。

巨大な波が特徴的なこの作品は北斎の代表作で、
浮世絵の中でも世界的に有名な一枚です。

アメリカの有名な雑誌でも、「日本のTSUNAMI」として紹介されていたよ。


背景と歴史『あつ森』の日本画② 神奈川沖浪裏(いきなめいが)


「神奈川沖浪裏」は、北斎が「富嶽三十六景」というシリーズの一部として制作した浮世絵です。

これは日本の各地から見た富士山を描いたシリーズで、1831年頃に完成しました!

1826年から作られいるので、約7年!
気合が違います!


「神奈川沖浪裏」は、その中でも特に有名で、誰もが見た事あるはず!


巨大な波とその奥に小さく見える富士山が描かれています。

北斎は富士山を題材にした作品を多く残していますが、その中でもこの作品は特に評価が高い逸品です!


ありがたいことに、この作品は版画。
つまり複製が可能ということ!

おかげで、「神奈川沖浪裏」は世界中の様々な場所で見られます!

神奈川沖浪裏が見れる場所
  • 東京国立博物館
  • 大英博物館(イギリス、ロンドン)
  • メトロポリタン美術館(アメリカ、ニューヨーク)
  • ボストン美術館(アメリカ、ボストン)
  • フランス国立図書館(フランス、パリ)

世界各地で神奈川沖浪裏を見るのもいいですよね。


見どころ『あつ森』の日本画② 神奈川沖浪裏(いきなめいが)


神奈川沖浪裏の見どころは、力強い波の表現です。

波の動きや形状を非常に詳細で、迫力がすごいです。

また、波に飲み込まれそうな船や、背景に小さく描かれた富士山との対比が、全体の構図を引き締めています。

波は大きく曲線を描いているのに、
富士山は静かにたたずんでいる……

この対比も、緊張感を与える方法の一つです。


藍色を基調にした、シンプルな色使いもカッコいいですよね。

一見色数が少なく見えますが、藍色の濃淡が、深みを出しています。


『あつ森』の日本画③大谷鬼次の奴江戸兵衛(いなせなめいが)

東洲斎写楽 – Metropolitan Museum of Art


次に紹介するのは、東洲斎写楽とうしゅうさいしゃらくの「大谷鬼次の奴江戸兵衛」です。

あつ森では「いなせなめいが」として登場します。

この絵は1794年に制作された浮世絵版画で、歌舞伎役者、大谷鬼次の劇的な表情と力強いポーズを描いています。

こちらも非常に有名な絵ですよね!

こっちは肉筆画ではなくて、版画なんだね!

今でいう「推しのブロマイド」みたいな感じで使われていました。

背景と歴史『あつ森』の日本画③大谷鬼次の奴江戸兵衛(いなせなめいが)

東洲斎写楽の「大谷鬼次の奴江戸兵衛」は、1794年に制作された浮世絵版画です。

描かれている人物は、歌舞伎役者、大谷鬼次おおたにおにじが演じる、江戸兵衛という人物。

河原崎座で上演された「恋女房染分手綱」を取材したものとされています。

ちなみに、江戸兵衛は悪役です。

だからこんな悪そうな顔をしているんだね!

みかけはこわいが、ふつうに悪役なんですね。



作者の写楽は10か月に約140点の作品を残しましたが、
独特な表現が受け入れられず、姿を消しました。

そんじょそこらの短さではない活動期間です。

そんな作者の作品が、今では超有名作品のひとつだからビックリですよね。

皆さんが推しのグッズを大事に保存すれば、この作品のように百年後の人にも推しが知られているかもしれませんね。

見どころ『あつ森』の日本画③大谷鬼次の奴江戸兵衛(いなせなめいが)

この作品の見どころ第一位は、雲母摺(きらずり)という技法です。

なんと背景には、全面に雲母が塗られています

この効果で見る角度によって、作品がキラキラ輝くのだそう。

今でいう、箔とかラメとかの効果ですよね。
昔から日本のファングッズがキラキラしていたことが分かります。

アイドルのような人気者だったんだね!

写楽は、役者の内面や個性を捉えることを重視しました。


そのため、理想的な美しさではなく、実際の役者の特徴を強調して描いていたのです。

そこが当時としては斬新だったのですが、あまりウケが良くなかったようですね。

現在ではそのリアルな表現が高く評価されています。​


大谷鬼次の奴江戸兵衛が見れる場所
  • メトロポリタン美術館(アメリカ、ニューヨーク)
  • 東京国立博物館
  • 千葉市美術館
    など

『あつ森』の日本画④紫陽花双鶏図(ちみつなめいが)

次に紹介するのは、伊藤若冲いとうじゃくちゅうの「紫陽花双鶏図」です。

あつ森では「ちみつなめいが」として登場しました。


こちらは江戸時代中期(1759年)に描かれた絹本着色の作品で、紫陽花と二羽の鶏を鮮やかに描いています。

細部まで緻密に描かれたこの作品は、若冲の動植物を題材とする代表作の一つです。

現在は、皇居三の丸尚蔵館に所蔵されています。

皇居ゆかりの展示会などで全国的に貸し出される事も多いようです。


背景と歴史『あつ森』の日本画④紫陽花双鶏図(ちみつなめいが)

伊藤若冲の「紫陽花双鶏図」は、1759年に制作された絹本着色の作品です。

こちらは前述の作品のような版画ではなく、絹に直接描かれた作品です。


少し見づらいですが、紫陽花の花と二羽の鶏を描かれていますね。

若冲は、動植物を詳細に描写することで知られていますが、特にこの絵の雄鶏の鮮やかな色彩と複雑なポーズは超有名。

若冲ならではの卓越した観察力と表現力が伝わってきますね!


伊藤若冲自身は、実は京都の青物問屋の長男でした。

ですが、画業に専念するために早くから隠居したと言われています。


見どころ『あつ森』の日本画④紫陽花双鶏図(ちみつなめいが)

「紫陽花双鶏図」は、緻密な描写と色彩が一番の見どころですよね!

雄鶏は鮮やかな色彩で力強く描かれ、片足を上げて複雑なポーズをとっています。
その一方、雌鶏は地味な色合いで描かれています。

この対比により、雄鶏の存在感が強調されているのです!


背景にあたる紫陽花も、非常に緻密ですよね。

それでも雄鶏の存在感を邪魔しないのは、紫陽花の色を暗くして色の対比を作っているからです。

構図だけでなく、色でもダイナミックに見えるような工夫がされていたんだね!

『あつ森』の日本画⑤風神雷神図(あらぶるめいが)

ひだり

最後に紹介するのは、俵屋宗達たわらや そうたつの「風神雷神図」です。

あつ森では「あらぶるめいが」として登場しており、右隻うせき左隻させきで分かれているのが特徴でした。

どっちかがずっと集まらないんだよね。


背景と歴史『あつ森』の日本画⑤風神雷神図屏風(あらぶるめいが)

「風神雷神図屏風」は、江戸時代初期(17世紀)に活躍した画家、俵屋宗達が描いた屏風絵です。

屏風は通常、右と左で対になっています。
そこが「あつ森」でも再現され、「あらぶるめいがのみぎ」「あらぶるめいがのひだり」二つで一つになる作品でした。


この作品で目を引くのは、やはり金箔の背景に描かれた風神と雷神でしょう。

特に力強い姿勢と動きが印象的でもあり、ちょっとかわいくありますね。


宗達は、琳派りんぱの祖として知られ、その斬新なデザインと色彩感覚が多くの後世の画家に影響を与えました。

この作品のオリジナルは、京都の建仁寺に所蔵されており、文化財としても高く評価されています。

風神雷神図屏風が見れる場所
  • 建仁寺(京都)
  • 東京国立博物館
    尾形光琳による模写版

東京国立博物館で見れるのは、模写版なんだね!


見どころ『あつ森』の日本画⑤風神雷神図屏風(あらぶるめいが)

この絵の見どころは、風神と雷神のダイナミックな描写と、背景の金箔の豪華さ!

風神と雷神の姿勢や表情に動きと迫力を感じますよね。

これは自然の力強さを表現していると言われています。

また、表情や動きが少し現代のアニメを思わせます。
日本人のアニメ・マンガの描写の原型を思わせる作品でもありますね。


ただ、コミカルさだけでは終わらないのが宗達のスゴイ所!

金箔を使用することで、神々しさと荘厳さを演出しているんです!


一部だけみるとかわいらしいですが、全体をみると、カッコよさや荘厳さが際立ちますね!

まとめー『あつまれ どうぶつの森』に登場する日本の絵画を解説します!



最後までお読みいただき、ありがとうございます!


あつ森で登場する作品はどれも有名なものばかり!

でも作品自体は見た事があっても、
その歴史や見所については意外と知らなかったところもあったかもしれませんね。


あつ森に登場する日本の絵画は、どれも日本美術の名作で、
歴史的・文化的に非常に価値がある作品が集められています!

ゲームが入り口だと、手軽に日本の絵画に触れることができて、楽しいですよね!

あつ森をきっかけに、日本史が得意になったり、知識や理解を深められた方も、きっと多いはずです。



現実の美術館や博物館でこれらの作品を鑑賞する時も、
「あつ森で見たことある!」
と、楽しく見れるのも素敵なポイントです。

皆さんも是非、あつ森での美術品収集を楽しみながら、
日本の絵画の魅力を再発見してみてくださいね!

久しぶりに島の様子を見に行きたくなりました!

虫を集めないと…

ちみつなめいがが表紙になってる!



いなせなめいがが表紙になってる!






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