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顔彩を比較!上羽絵惣と吉祥の顔彩の違いを調べてみた!【日本画】

この記事で分かること
  • 透明感が欲しい人は上羽絵惣がおすすめ!
  • 重厚感が欲しい人は吉祥がおすすめ!


こんにちは、日本画家の深町聡美です。

今回は、ふるさと納税で貰った上羽絵惣の顔彩が届いたので、吉祥の顔彩と使い心地を比較してみました!


結論から言うと、どちらも良い顔彩です!

ただ、使い心地や色がかなり違う部分があります。


なので、これから顔彩を買おうと思っていて
どのメーカーの物を買おうか迷っている方は、
参考になると思います。



ぜひ最後までお読み頂き、好みの顔彩を選んでみて下さいね!



顔彩ってなんだ?と言う方はこちら!

➡【大幅加筆!】顔彩とは?水彩絵の具との違いと使い方を解説!


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絵具をもらう方法はこちらから!


今回利用した顔彩はこちら!


注意

今回比較するのは10年物の吉祥と、新品の上羽絵惣の顔彩です。
同じ状態での比較ではない事をご了承ください。
※比較内容は100%個人の主観です



上羽絵惣の顔彩は透明感がきれい!

発色★★★★☆
含みの良さ★★☆☆☆
滑らかさ★★★★★
水彩境界★★★☆☆
粒子感★★★★☆
透明感★★★★☆

上羽絵惣の顔彩を使った一番の感想は、
「透明度が高い!」でした。

まさに水彩絵具のような使い心地で描くことができます。


顔彩特有のモッタリ感も控えめなので、
苦手意識がある方でも使いやすいと思いました。



特に若葉色など透明度が高い色は、
高級水彩絵具にも劣らない発色です。


水彩画家さんも気になる色があれば
単色から買ってみるのもオススメです!

  • 透明感
  • 爽やか
  • 薄塗り
  • マイルド

以上のキーワードにグッとくる方は
上羽絵惣の顔彩を手に取ってみて下さいね!

緑系の絵具がめちゃくちゃ使いやすい!

個人的には青草と若葉がお気に入りです。


吉祥の顔彩はしっかりした使い心地!

発色★★★★★
含みの良さ★★★★☆
滑らかさ★★☆☆☆
水彩境界★★★★☆
粒子感★★★★★
透明感★☆☆☆☆


吉祥の顔彩の使い心地は「モッタリ系」です!

不透明で重厚感ある塗りがしやすいタイプです!



上羽絵惣の顔彩よりも絵具の溶けやすさ
(含みのよさ)
は高く、サッと撫でるだけで絵具が付きます。


また、水彩境界や粒子感もあり、
マチエールを活かした絵にも活用できそうです。

  • 厚塗り
  • 落ち着いた色
  • 不透明
  • ずっしり

このキーワードにグッときた方は
吉祥の顔彩を買いに急ぎましょう!

上羽絵惣の顔彩と比較すると、少し暗い色彩だよ!

さらに落ち着いた雰囲気になりますよ!


上羽絵惣と吉祥の顔彩を、同じ名前の絵具で比較!

吉祥の鮮光黄と上羽絵惣の山吹

名前は違いますが、ほとんど同じ色です。


さっそく違う名前同士での比較ですが、
ほぼ同じ色なので採用しています。


肉眼でもほぼ違いはありません。
強いて言うなら吉祥の鮮光黄の方が
少し不透明です。

緑青と混ぜて黄緑色を作る時によく使うね。

吉祥の方が鮮やかで赤みが強いです。


こちらは吉祥の朱の方が
若干赤みが強い印象です。

水彩境界も吉祥の方がくっきり出ていました。


上羽絵惣の方は少しだけ白っぽさがあり、
日本画で言う「具」
(胡粉を一滴足した絵具)
のような感じがあります。

筆者は上羽絵惣の柔らかい色合いが好きだよ

黄土

ほとんど色は変わりませんが、吉祥の方が青みがあります。


吉祥の黄土は少し青みがあり、
上羽絵惣の方は赤みがあります。


黄土は本来砂の色で、特に決まった色はありません。
お好きな方を選ぶと良いでしょう。


筆者は聚楽黄土モロッコ黄土っぽいなと思いました。


吉祥の黄土を混色すると渋い色に、上羽絵惣の方を混色すると鮮やかな感じになりそう!

吉祥の花白緑と上羽絵惣の白緑

花白緑と白緑、名前が違います。


こちらも名前が少し違いますね。
吉祥が花白緑
上羽絵惣が白緑となっています。

花白緑は毒性がある絵具として知られていましたが、顔彩の花白緑は無毒なのでご安心下さい。


吉祥の花白緑の方が若干青みがあります。


上羽絵惣の白緑は透明度が高いので、
他の色と混色しても透明感をキープしたまま
落ち着いた色になります。

暗めにするか、透明感を出すかで選ぶと良いね!

←白緑+岱赭 花白緑+岱赭→


美藍

色は同じですが、吉祥の方が粒が大きい感じです。


吉祥の方が少し色味が暗く粒子感も感じられます。

逆に上羽絵惣の方はほぼ粒子っぽさがありません。

他はほぼ同じ色ですね。


上羽絵惣の方は粉っぽさがないから染料みたいな感じになるね!

群青

同じ色名ですが、全く違う色です。


日本画を代表する美しい絵具、群青。
ですが顔彩では意外にも全く違う色となりました!

吉祥の方がより青みが強く、濃い色です。
一方で上羽絵惣の群青は白っぽい色をしていますね。


ここは好みが分かれるところだと思います。

群青の色で購入する顔彩を決めるのも
アリかもしれません。

同じ名前でも全然色が違うのもあるんだ!


岱赭たいしゃ

どちらもほぼ同じ色と言えます。


岱赭とは日本画の茶色のこと。
「たいしゃ」と読みます。

こちらは色味も粒子感もほぼ同じですね。

水で伸ばした時の色味を比較すると若干上羽絵惣の方が青っぽく見えました。

上羽絵惣の方がムラが少なくマットに塗れたよ

緑青

吉祥の方が暗く、上羽絵惣は明るい緑ですね。


こちらもまた色が違いますね。

吉祥の方が青く暗い色をしています。

水彩絵具のビリジャンに近い色味ですね。


一方上羽絵惣は鮮やかな緑色です。

岱赭の時と同じく、上羽絵惣の方が
マットな感じになりました。


暗めの色彩だったり、マチエールを活かすなら吉祥がいいね!


単色で使った限りは同じ色に見えました。


黒はどちらもほぼ同じ色でした。

この見本では吉祥の方が濃く見えますが、
吉祥を薄めた色と比較してもほぼ変わりありません。


ほんの少しだけ上羽絵惣の方が
粒子が小さい感じでした。

ただし上羽絵惣の12色セットには黒が入っていません!


燕脂えんじ

こちらも吉祥の方が色が濃いですね。


燕脂では吉祥の方が明らかに色が濃く鮮やかです。

上羽絵惣の方は白っぽく、薄い色をしていますね。


吉祥の洋紅と上羽絵惣の紅、紅梅

吉祥の洋紅と紅梅が近い色ですね。


上羽絵惣のセットに「紅」がつく絵具が2色入っていました。

なので、今回は3色を比較します。


吉祥の12色セットには洋紅色が入っていました。
これはコチニール色のことですね。

この中では洋紅と、上羽絵惣の紅梅が近い色と言えるでしょう。

紅はより黄色みがある赤という感じです。

ここまで比較した感じ、吉祥の方が全体的に青みがあるね。

胡粉ごふん

×白➡〇胡粉

見た感じ全く同じでした。


日本画では白い絵具に「胡粉」
という貝殻を砕いた粉を使います。


それで顔彩でも白の絵具の名前が「胡粉」なんです。


胡粉色同士の比較ですが、
こちらもほとんど違いはありませんでした。

上の比較画像では吉祥が黒く見えますが
これは膠の反射によるものです。

単色で見た感じでは変わりませんが、混色すると違う使い心地になるかもしれません!



上羽絵惣と吉祥の顔彩を12色セットの色で比較!


せっかくなので今度は、
12色セットに入っている色同士
で比較してみました!


吉祥12色セットと、こちらの上羽絵惣12色セットを比較します。


上羽絵惣の12色セットに入っているのは以下の色!

胡粉、黄土、青草、白緑、緑青、紫、朱、群青、代赭(茶)、黄、藍、えんじ

上羽絵惣 顔彩12色セット




吉祥の顔彩12色セットに入っているのはこちら!

臙脂、黄土、鮮光黄、朱、花白緑、緑青、群青、美藍、洋紅、岱赭、黒、胡粉

吉祥 顔彩12色セット並



各色を見ていく前に、セットの色を比較してみます。

主な違い
  • 上羽絵惣初心者セットには黒がない
    (セットの藍で代用する)
  • 上羽絵惣初心者セットには青草色が入っている
    (上羽絵惣には緑系が3色入っている)
  • 上羽絵惣初心者セットには紫が入っている
    (吉祥は赤系が2色入っている)


上羽絵惣のセットは緑系が多く、
吉祥は赤系の絵具が多いですね。


注意すべき点としては、
上羽絵惣のセットには黒が入っていない事があります。


黒が必要な時は個別に購入するか、
セットに入ってる藍色で代用しましょう!


胡粉


前述の通り胡粉色は両社ほとんど違いがありません

気を付けてみると
上羽絵惣がほんのり黄色みがあるように見えます。

黄土


基本セットには黄土も入っています。

少量混色すると他の色を中和して
彩度を下げることもできます。

色々活用してみてくださいね!


下地に使うのもおススメです!



吉祥の黒と上羽絵惣の青草

絵手紙や植物にピッタリの青草色が入っています!


吉祥には黒が入っていますが、
上羽絵惣には入っていません。


一方で上羽絵惣には青草色が入っています。


この青草色、名前の通り、
混色せず草色として使える優れものです!


絵手紙などで植物をよく描く人は、
単品で買ってでも持っておくのがおススメです!


程よい粒子感も良いですね!

透明度も高いので
水彩と併用する時も扱いやすい色でしょう。

吉祥の花白緑と上羽絵惣の白緑


吉祥のセットには花白緑が、
上羽絵惣には白緑が入っています。

前述した通り、白緑の方が透明感があり、
少し薄めの色だと感じました。


花白緑の方は絵墨淡の緑に近い、
不透明でモッタリした塗り心地です。

緑青


どちらにも緑青色は入っていますが、
色が全く違います。


上羽絵惣の方は粒子が細かく、
黄緑に近い鮮やかな緑ですね。


高彩度系でイラストを描く方には
上羽絵惣の緑青がちょうどいい
かもしれません!

吉祥の洋紅と上羽絵惣の紫


さて吉祥には臙脂の他に、
洋紅という赤系の絵具が入っています。


こちらは臙脂と比べて赤みが強く、
若干透明度が高く見えます。


上羽絵惣の方は、
なんとが最初から入っています!


混色が苦手な方や、
鮮やかな紫を使いたい方にはピッタリと言えますね!


顔彩らしく彩度も抑え気味なのがいい感じです。


朱色ももちろん入っています!

こちらの比較でも上羽絵惣の朱色は
少し白っぽく優しい色をしていますね。

群青


そして人気の群青も入っています!

吉祥の方は少し紺青に近い濃い青です。

一方上羽絵惣の方は白群に近い白っぽい青ですね。

とりあえず彩度を下げるときに吉祥の群青は重宝してるよ!



岱赭たいしゃ


黄土と双璧を成す(?)
日本画のメジャーな色、岱赭です。

日本画では黄土と共に
下地の色としてよく使われています。


この比較では吉祥の方が赤みがあり
上羽絵惣の方が青みがあるのが分かりますね。

吉祥の鮮光黄と上羽の山吹(黄)


12色セットの比較と言いつつ、
実は比較になっていません。


というのも、上羽絵惣の24色セットに
「黄」が入っていなかったためです。


黄色と鮮光黄の比較をされた方は、良ければCONTACTページから比較画像を下さい!


吉祥の美藍と上羽絵惣の藍


そして最後の大きな違いがコレです!

吉祥は美藍ですが、上羽絵惣はが入っているんです!


上羽絵惣と吉祥の美藍は大体似た色でしたね。

ですが、藍は美藍よりもさらに暗く、
黒に近い色をしています。


青として使うよりも、
黒の代わりとして混色に用いるのが
多くなりそうですね!

上羽絵惣の12色セットを買った場合、コレを黒の代用にするといいってことかも!


燕脂えんじ


最後の色は燕脂です。

上羽絵惣の12色セットの場合、唯一の赤系の絵具です。



吉祥の燕脂は比較的濃い赤という印象ですが、
上羽絵惣はマイルドな赤になっています。

少し染料のような雰囲気もありますね!

まとめー顔彩を比較!上羽絵惣と吉祥の顔彩の違いを調べてみた!


最後までお読み頂きありがとうございます!

以上が吉祥と上羽絵惣の顔彩の比較でした。


12色セットの色が違うだけでなく、
同じ名前でも色が全く違うこともありましたね!


実際に実験してみて意外な色の違いに驚きの連続でした!


結論としては

  • 透明度が高く、さわやかな感じが好き➡上羽絵惣
  • 重厚感ある絵や、マチエールが好き➡吉祥

となりました。


とはいえ、どちらも良い絵具です!
そしてどちらも顔彩なので使い心地はほぼ誤差です!


迷っている方は好みの方を揃えてみて、

もう持っている方は「そんなに違うなら」と
もう一つも試してみるのはいかがでしょうか?


顔彩ってなんだ?と言う方はこちら!

➡【大幅加筆!】顔彩とは?水彩絵の具との違いと使い方を解説!

今回使った顔彩はこちら!



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乞うご期待!


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